2020年10月9日逗子市文化プラザでみんなでファッションショー動画撮影が行われました。

今年はコロナの影響で文化プラザホールを利用し動画を撮影しオンライン配信と決定。

W2-Dressでは、みんなでファッションショーの中の車椅子ドレス部門で7台のドレスを披露することになりました。

会場は無観客だが、背景スライド、森の中のフェスティバルのような画像やオーガンジーの幕を用意しスペース演劇の舞台のように設営されました。

ファッションショーというのは 人目を惹き話題性もある。でもその分裏側の準備は、かなりのものです。アパレル時代から経験していた自分はわかってはいましたが、車椅子ユーザーモデルとなるとさらにその倍、いろいろなことが起こります。でもその倍、それもまた感動につながることを 今回も実感しました。

以下、当日の裏側のような記録を書いていますのでよろしかったら

読んでみてください。

 

 

 

1週間前まで雨など全くない晴れの天気だったのに
突然現れた台風の予報。
そしてまさかの直撃。
車いすユーザ-は、ファッションショーでは雨は致命的だ。

最悪会場へ来られないことがある。電車の遅れなどだけでなく、物理的に、電動車椅子のバッテリーが激しく濡れるのを嫌がるのもある。

この日車椅子モデル達を、密にさせないように、控え室は、本来の会場から外へ通っていく広い会議室を予定していた。

この悪天候の中、これでは
ドレスを着たまま往復することになる。これは無茶だ!

雨が避けられないとわかった前日、急遽外に出ない控え室の予約に走った。

施設側の行為で雨に濡れない控え室を抑えてくれた。まさに脅しのような泣き落としのようなメールを送ったことに、答えてくれてのことだった。心から感謝した。

昨年のみんなでファッションショーを知り、ドレスを寄贈したいと声をかけてくださった方がいた。ドレス製作は、そこからはじまった。

まだ肌寒く、桜も咲ききらない3月、目黒川沿のそのお宅まで取りに伺い、10着ほどのドレスと様々な小物、メンズスーツなどをいただいた。

どれも質の良いものだったが、デザインが昭和!大きなパフスリーブや大きなリボンやベルベット 。なかなかやりがいがある…

暑い夏の間、数回にわたるワークショップ。何度も 車椅子の上にのせたマネキン に着せて形を探っていく。
リデザインは、仲間に手伝ってもらい、合計6点を作り上げた。

リデザインのワークショップの様子はこちら

さて、本番当日。

案の定、小雨から次第に風も強まる雨。

にもかかわらず続々と時間通りに車椅子モデルの方たちは集まってくれた。
7名全員が揃ったのは奇跡に思えた。

撮影とは言え、今日は本番。
モデルさんの中にはお付き合いのある人もいるが
zoomで出会い今日初めてお会いするモデルもいる。はじめまして〜

から始まる。

車椅子サイズや形状はあらかじめお話をしていたがそれでも予測不能なことが多い。

車椅子ドレスでもっとも大切な事は身長だった。
座っているのだからそれほど変わらないだろうと思うと思いそうだが、
少しでも身長が変わるとギリギリの裾のラインで設定している私のドレスは床を引きずることになる、
引きずるとどうなるか。
裾が電動車いすの中に巻き込まれ、ドレスが破れる。車輪は固まる。壊れる。

最近の車椅子は電動もしくは簡易型バッテリー付きの電動車いすが主流

ドレスが絡まったのに気がついてすぐバックするにも一瞬ジョイスティックをバックに入れなければならず動作が遅れる。
とにかく1番にやらなければならないのは、そこのチェックだ。

ドレスのフィッティングが終わるとまず廊下へ出て動いてもらう。
裾が絡まることなくスムーズに動けるか電動車いすについているジョイスティック(操作レバー)を普通に操作できるか確認する。

余談だが最近の電動車椅子はとてもコンパクトで小さい。エレベーターの中でも空いていればその場で回転ができる。
それは良いのだが昔の車椅子に比べてドレス作りにおいて困るのはそのジョイスティックレバーだ

私のドレスは肘掛けよりも外側にスカートを貼り出させ
華やかなボリュームを持たせている。

それゆえに肘掛けに付いているジョイスティックレバーは邪魔なのだ。
でもこれがないと動けない。

そこであらかじめ左右どちらにレバーが付いているか確認をしデザインの中でかからないようにスリットを開けておく。

スリットと言うのは縫い目などを利用した穴である。ここでも身長の差が問題になる。

座った状態でも身長の高い子はドレスの丈が短くなり身長の低い子は車いすの車輪に巻き込まれる。だからといって全て安全な短め丈に設定するのはちょっとイメージが違う。

あえて、エレガントに挑戦してみたいのだ。私達がドレスの裾を少し気にしながらエレガントに歩く様に。

そんなこんなで今回は、ドレスのシルエット
自然な裾へ向かっての広がり、柔らかなバルーンシルエットなどにこだわっていたから、丈の設定もとても難しかった。

何とか7名全てが確認できたのは撮影予定時間を過ぎていた。

初めて全員が集合した中で
本番前の一度だけのリハーサル動きを説明してそれぞれのポジションを伝える。

みんな顔がカチカチ。それはそうだ。
こんなに車椅子の人が集まってやるファッションショー彼女たちも初めて。自分もこれだけの規模は初めてである。

でもそこは若い彼女たちだった。本番が始まると、みんなにこやかに楽しそうに緊張が取れない人もいたが無事に. ほぼ、予定通りの動きをしてくれた。

本来もっと一人一人のスタイリングを確認するべきだったのに、
ちょっとリボンが曲がっていた人、裾が上がってしまっていた人、フェイスシールドで顔が暗くなってしまった人もいて、

動画を見ると残念な思いも浮かぶ。
それでも、それを引いても、
これだけの人数のモデルさん、ドレスを寄贈してくださった菊池さんをはじめ、舞台を作ってくださった方々、音楽照明に関わってくださったアーティストの方々、場所の調整、小物、フィッティング、タイムキーパー、シナリオ、それに何より動画撮影の本当に多くの力のお陰で、今までにないショーをする事ができたと、感謝と喜びに満ちている。
終わってからずっと感動している。

<自分の苦手は誰かの得意>
私も誰かの苦手の代わりになれているだろうか。
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